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アメリカのシンガーソングライター、マイケル・フランクス誕生(1944〜)
2004年09月18日(土) rain.gif
  つぶやくような独特の歌い回し、癒し系(?)のAORシンガー

 1970年代後半に一世を風靡したAORブームの中で、一際異彩を放っていたアーティストが、今日紹介するマイケル・フランクスです。例えばボズ・スキャッグスやクリストファー・クロスといった、シーンを代表するアーティストたちが、ロック界からジャズやフュージョンに接近していったのに対し、セロニアス・モンクやホレス・シルヴァーをフェイヴァリット・ミュージシャンに挙げるフランクスは、ジャジーなフィーリングを基にロックやポップスに接近していったからです。1976年の2ndアルバム『アート・オヴ・ティー』で、つぶやきをそっとメロディに乗せるような独特の歌い回しで注目を集め、翌年発表した『スリーピング・ジプシー』では、彼が愛するボサ・ノヴァのエッセンスを散りばめ、さわやかさとアンニュイさを併せ持つ、彼ならではのサウンドを確立。このアルバムは敬愛するブラジル音楽の巨匠、アントニオ・カルロス・ジョビンを訪ねてリオデジャネイロで録音されており、中でもジョビンに捧げた「アントニオの歌」は名曲として知られています。ちなみにこの曲、日本で98年にUAが素晴らしいカバー・バージョンを発表していて、それを聴いたフランクスも思わず「Great!」と唸ったとか。

 派手なチャート・アクションこそないものの、誠実さがにじみ出るような佳作をコンスタントに発表し続け、現在も熱心なファンに支持されているマイケル・フランクス。AORというと“オシャレで都会的な音楽”というイメージがありますが、フランクスの場合は、確かに洗練されてはいるものの、オシャレというより癒し系という言葉がピッタリくるほど、穏やかで優しいサウンドが持ち味。それはきっと彼自身が、ベジタリアンで、よっぽどの必要がなければ革靴も履かないという、自然派だからなのかもしれません。
 



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