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スティクスのギタリスト/ボーカル、トミー・ショウ誕生(1953〜)
2004年09月11日(土) sun.gif
  「バラードのスティクス」にワイルドな魅力をプラス

 “スティクス”は1970年に結成され、70年代後半〜80年代前半にかけて黄金時代を築いたアメリカのロック・バンドです。当時アリーナ・ロックと呼ばれた抜群の観客動員力とショー・アップされたステージを誇るバンドの中のひとつでした。メンバーは、キーボードにベースとドラム、それにツイン・ギターという5人で、そのサウンドは、アメリカン・プログレッシブ・ハードロックとでも呼ぶべきもの。中心メンバーのデニス・デ・ヤング(1947〜)のつやのあるボーカル&キーボードによるメロディアスな楽曲(79年の全米ナンバー1ヒット「ベイブ」が代表例)と、アルバムごとにテーマ性をもたせたコンセプト指向の造り込みが、明るいサウンドの中にもプログレっぽさを感じさせたのです。

 もう一人の中心メンバー、トミー・ショウ(1953〜)は、75年からバンドに参加した若いギタリストで、アイドル的なルックスと、ハードなギター・プレイ、それにデ・ヤングとは対照的にワイルドなボーカルでスティクスの魅力を倍増しました。たとえば、「ドモ、アリガ〜ト、ミスター・ロボット〜」という妙な日本語入りの楽曲で83年に大ヒットした『キルロイ・ワズ・ヒヤ』というアルバム。この中には、ケーブルテレビで情報統制された近未来を舞台に、ロックを悪道徳と決めつけるテレビ社主に投獄されたロック・ヒーロー「キルロイ」と、彼を救うべく奮闘する若者が登場しますが、配役は「キルロイ」がデ・ヤング、若者がトミー・ショウ、といった具合。グループの中での2人の役どころがよく伺えますね。

 ところがこの83年頃を境に、アリーナ・ロック勢の人気に陰りが出始めます。スティクスも翌年には活動を休止し、デ・ヤング、トミー・ショウともにソロ活動を開始。ショウは89年に新バンド“ダム・ヤンキーズ”を結成、「ハイ・イナフ」で全米3位のヒットを飛ばしますが、このバンドも93年にあっけなく解散。そして95年、レコード会社がスティクスのベスト盤を出そうとデ・ヤングに打診したところ、どうせなら新録音しようという話になり、結局ショウも合流して最強メンバーによるスティクスが復活。96年には全米50カ所のツアーを成功させて2枚組のライブ盤を発売し、99年にはオリジナル・アルバムの『ブレイヴ・ニュー・ワールド』もリリース。パワフルかつメロディアスな“スティクス”の健在を印象づけました。
 



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