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「尋常小学読本唱歌(文部省唱歌)」刊行(1910)
2004年07月14日(水) sun.gif
  唱歌とは音楽授業のことでもあった

 1910(明治43)年、文部省より「尋常小学読本唱歌」が刊行されました。これは、当時の小学校(尋常小学校)の教科書として、文部省が初めて制定した唱歌集です。この本の中では、作曲者名をあげず、ただ「文部省著作」と記されていたので「文部省唱歌」と呼ばれるようになりました。翌年には学年別に編集された「尋常小学唱歌」の刊行が始まり、1932(昭和7)年にはそれらを全面改訂した「新訂尋常小学唱歌」となって、1941年(昭和16)に小学校が国民学校に変わるまで長く授業で使われました。この文部省唱歌の中でよく知られている歌としては、「われは海の子」「春が来た」「春の小川」などがあります。

 ところで、そもそも“唱歌”とは何でしょう?1872(明治5)年に学制発布されたとき、小学校の授業の1科目として「唱歌科」が設けられたことから、「唱歌」という言葉ができました。それ以後、学校の音楽の授業のことを「唱歌」と呼ぶようになり、授業で使われる歌曲集も「唱歌」と呼ばれるようになったのです。ちなみに「文部省唱歌」が制定される前には、「小学唱歌集」「ヱホンシャウカ」「児童唱歌」など民間発行の唱歌集が使用されていました。
 



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