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フランス・オペラの象徴、「パリ・オペラ座」が完成(1875)
2004年01月05日(月) sun.gif
  設計から完成まで15年もかかった豪華な劇場

 現在パリには、オペラ座と呼ばれる建物が2つあります。一つはフランス革命200年を記念して1989年に作られた真新しい「オペラ・バスチーユ」。そしてもう一つが、ここで話題にする歴史的な「パリ・オペラ座(=オペラ・ガルニエ)」です。

 フランスでオペラが上演されはじめたのは1671年のこと。それ以来さまざまな劇場に場所を移しながらパリのオペラは花開いていきましたが、1858年、一つの大きな事件が起こります。当時のフランス皇帝だったナポレオン3世とその皇后が、オペラ観劇後の帰り道で暗殺されそうになったのです。幸い暗殺は未遂に終わりましたが、縁起が悪いと思ったのか皇帝は、「かつて建てられたどれよりも立派な劇場」を建てるための設計コンクールを行うと発表したのです。

 1860年に実施されたコンクールで優勝したのは、当時まったく無名だったシャルル・ガルニエという建築家。彼の指揮のもと、翌年から工事はスタートしましたが、途中普仏戦争が勃発したり、また地盤が悪いことが発覚し基礎からやりなおしたこともあって、すべてが完成したのは何と15年後、1875年のことでした。しかしフランス文化の粋を集めて建てられたこの劇場は、皇帝の期待をはるかに超えたものでした。紳士淑女を迎え入れる大階段、美術館や図書館が併設された大ロビー、鏡張りのサロン、すべてが赤いビロードでおおわれた座席…。それはまさしく「かつて建てられたどれよりも立派な劇場」でした。

 現在オペラの上演はほとんど、近代的設備が整った「バスチーユ」で行われており、「ガルニエ」では主にバレエの公演が行われています。しかし多くの音楽ファンにとっては現在もフランス・オペラの象徴といえば、この「オペラ・ガルニエ」なのです。
 



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