|
日本が宿敵の韓国にフルセットの大激戦の末、3-2で劇的逆転勝利。 開幕3連勝を飾った。 9月のアジア選手権に続く勝利で、96年アトランタ五輪以降では初めての 韓国戦連勝。世界大会初体験の栗原恵(19)が最終セットで好打連発、 勝負を決めた。最高の形で東京ラウンドを終え、 5日からは強敵が控える名古屋へ。 3位以内に与えられる来年のアテネ五輪出場権獲りへ、日本の勢いは、 もう止まらない。
栗原が決めた。W杯史上に残る激戦にケリをつけた。最終セット。 韓国を突き放す8点から12点目、すべて決めた。 次々と猛打を突き刺す。サービスエースも飛び出した。 日本に大きな大きな1勝をもたらしたのは、 まだあどけなさの残る19歳だった。
「とにかくうれしいです! 思い切って打ちました」。 第1セットを取られたものの第2セットを接戦の末に取り返し、 第3セットを奪われる大ピンチを第4セットで追いついて、 どうにかしのいだ。最終セットも一時は6-7とリードを許したが、 そこから逆転。奇跡のヒロインは、魔女っ子メグちゃん。 取りも取ったり計30得点。大会3日目、ようやく心の底からの 笑顔が輝いた。
世界大会初出場。大会前から両親に電話できなくなった。 話せば泣き崩れそうな重圧。抱え込んで、つぶされそうだった。 救ってくれたのは、先輩たちの励まし。 「フォローするから、思い切って打てばいい」。 高校時代は線が細かったが、筋トレでパワーアップした。 この日、先輩たちを信じて、思い切り打ち込んだスパイクは、 最高に力強かった。 赤ん坊のころから、ママさんバレー選手の母・厚子さん(47)に 抱かれて、球の動きを追っていたバレーの申し子。 大一番で、潜在能力がフル開花した。
日韓バレー史を塗り替えた一戦。「この試合で歴史を変えたい」。 柳本晶一監督(52)は考えていた。五輪順位が韓国上位に逆転した アトランタ五輪の予選以降、連敗続きで、連勝はなし。 「どこかで、苦手意識が芽生えたんだと思う」(柳本監督)。 苦節を乗り越え、ついに連勝した。「続けて勝てば、逆に韓国に 苦手意識を持たせられる」。これからも、アジアの宿敵として、 大事な局面で当たるはずの韓国。もう怖くない。
序盤最大のヤマ場を最高の形で突破した。 名古屋では、イタリア、米国と強敵が控えるが、 今、日本の勢いは最高潮。勝てる。 「どこのチームが相手とかじゃなく、精いっぱいやっていきたい」。 短い言葉に、栗原は決意を込めた。単なる1勝ではない。 価値無限大の1勝。いよいよ、アテネへの追い風が吹いてきた。 |
|
|