個別表示

ここまで来た!進化型ドライブスルー
2004年09月24日(金) crowd.gif
  マクドナルドのドライブスルー。読者の皆さんも一度は使ったことがあるでしょう。とても便利なサービスですが、その進化はとどまるところを知りません。その最新事情とは?
サービスの進化といっても、利用者にとってはその変化をまったく気づかないかもしれない。というのも車に乗ったまま注文し、少し移動してハンバーガーとポテトを受け取る、という流れ自体はまったく変わらないのだ。代金の支払いが日本の高速道路のETCのように自動で済むというわけでもない。また、ハンバーガー以外にガソリンが同時に入れられるとか、お金を引き出せるとか、そういうことができるわけでもない。
 では、マクドナルドは何を進化させようとしているのか。それは「待ち時間を限りなく減らすこと」である。ドライブスルーの混雑を減らして、待ち時間が嫌で他の店に流れていたお客を自店に呼び込むことが狙いなのだ。日本と比較して、米国のファストフード業界は競争がとてつもなく厳しい。そこではスピードが競争力の源泉の一つとなるのだ。
 米国のStar Tribune紙は、このドライブスルーのスピード競争が今後の業界のトレンドになると予想している。では、スピードを上げるために実際にどのような手法が採られているのであろうか。
 それは、ドライブスルーの注文システムにコールセンターを活用しようという、驚くべき内容だ。仕組みはこうだ。店舗とコールセンターの間に高速のデータ回線が敷かれている。顧客が車で乗り付けてメニューの隣のマイクに話しかける(注文をする)と、遠く離れたコールセンターにあるコンピュータースクリーンに、注文したメニューが文字で表示される。コールセンターのオペレーターがそれを読み返し、確認を取る。あたかもすぐ近くの店舗の人と話している感覚だ。
 では、遠く離れたコールセンターが受け取った注文は、どう処理されるのだろうか。確認を取った注文は、注文した顧客が識別できるよう、マイクに話しかけたときに取っておいた写真(!)と一緒に、その店舗のキッチンエリアにあるビデオ・スクリーンに瞬時にプリントされるという仕組みとなっているのである。
 この仕組みによって、マクドナルドでは、注文の聞き間違いによる商品ミスがほとんどなくなり、ドライブスルーの応答時間が1オーダーあたり約20秒短縮したという。また、ドライブスルーに要するコストの削減も可能なのだそうだ。
 現在、米国のマクドナルドの店舗は約13,500店。そのうち、この仕組みを使っているのはおよそ1%ほどで、その多くはテスト段階とのことだから、本格展開するには至っていない。日本のドライブスルーでは、注文一つするのにそんなに時間がかかっているとは思えないので、にわかにこの仕組みで時間短縮するとは想像しにくいものがあるが、米国では業務の改善につながるのだろう(注文しようとしてもなかなか従業員がマイク口に出てくれないとか、確認も取らずに注文を受けてしまうとか・・・)。
 それにしても、われわれの想像もできないような、サービス進化のための試みが世界中で行われているかと思うと、なんだか愉快な気持ちになるものである。
松尾大輔 提供:株式会社FP総研
 



- Web Diary Professional ver 2.28 -