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アイルランドのシンガー、エンヤ誕生(1961〜)
2004年05月17日(月) sun-or-crowd.gif
  アイルランドの風土に根ざした、癒し系の歌姫

 2001年、映画『冷静と情熱のあいだ』の主題歌「ワイルド・チャイルド」が大ヒットし、日本でも人気が急上昇したエンヤ。厳かなエコーを聴かせた荘重なシンセサイザーの音色に、自分の声を何十回、何百回も多重録音することで得られる優しく包み込むような透明感のあるコーラスは、“癒し系の音楽”と呼ばれています。

 63年にグイドアというアイルランドの小さな田舎町で生まれたエンヤは、18歳のときに彼女の兄や姉が組んでいたクラナドというグループに参加します。クラナドはアイルランドの伝統音楽に根ざしたポップスを演奏しており、トラディショナルと最新のシンセサイザー・サウンドの融合という、後のエンヤのスタイルが、このころに形作られました。82年にソロとして独立したエンヤは、独自のサウンドを模索しながら、85年から映画やテレビの音楽を手がけるようになります。そしてBBCのドキュメンタリー「幻の民 ケルト」の音楽を担当したことで、ついにその才能が花開きます。87年にリリースされた、そのサウンドトラック『ケルツ』が大ヒット。それを聴いたレコード会社の社長が、ダブリンのエンヤのスタジオを訪ね、「何年かかっても構わないからアルバムを1枚作ってください。制作費は私が払います」と、契約を請うたというエピソードが残されています。

 そうして作られた88年の初のソロ・アルバム『ウォーター・マーク』から、シングル「オリノコ・フロウ」が世界的な大ヒットを記録。以後、91年の『シェーパード・ムーン』、95年の『メモリー・オブ・トゥリーズ』、2000年の『ア・デイ・ウィズアウト・レイン』と、素晴らしいアルバムを発表し続けています。癒し系と呼ばれるエンヤの音楽は、アイルランドの厳しい自然と豊かな大地がイメージされますが、彼女自身も故郷についてこう語っています。「アイルランドの風景こそが私に音楽のひらめきを与えてくれる。私は故郷に帰ると、必ず周囲の山々を長い時間かけて歩き、自分が何者なのか、自分にとって何が大切かを見つめ直します。多忙な日常を離れて過ごす静寂なひとときが、私を癒す大切な時間なのです」
 



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