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アメリカのシンガーソングライター、ジェイムス・テイラー誕生(1948〜)
2004年03月12日(金) sun.gif
  素朴で懐かしい楽曲で人々の心をつかんだ実力派

 70年代前半のシンガーソングライター・ブームの草分け的存在のジェイムス・テイラー。音楽好きな一家に育ったジェイムスは、早くからチェロやギターをマスターし、カントリーやフォーク・ミュージックを演奏するようになります。18歳の時、フライング・マシーンというロック・バンドを結成しますがうまくいかず、20歳で単身イギリスへ渡り、ビートルズが作ったレコード会社アップルの契約第一号アーティストとしてデビュー作『ジェイムス・テイラー』をリリースします。このアルバムに収められた「サムシング・イン・ザ・ウェイ・シー・ムーヴス」が、ジョージ・ハリスンの名曲「サムシング」のヒントになったというエピソードがありますが、当時はあまり話題にならず、失意のうちにジェイムスはまたアメリカへ戻ります。

 そして70年、22歳で発表した『スウィート・ベイビー・ジェイムス』は、刺激的で幻想的なサイケやフラワー・ムーブメントがちょうど下火になり始めた背景もあって、ギター弾き語り中心のシンプルなサウンドと個人的で内省的な歌詞、カントリーやフォークを下敷きにした素朴で懐かしい楽曲が人々の心を打ち、大きな話題となります。続いて翌年にリリースした『マッド・スライド・スリム』からは、友人のキャロル・キングより提供された「君の友だち」が全米ナンバーワン・ヒットを記録。アーティストとしての評価を決定付けました。ジェイムズの活躍によって起こったシンガーソングライター・ブームは、その後ニール・ヤング、ジャクソン・ブラウン、ジョニ・ミッチェルらの登場によってますます隆盛し、現在のポップス・シーンでも一つの大きな流れを形作っています。

 今でも数年に一度というゆったりとしたペースで作品をリリースし続けているジェイムス。6年ぶりのスタジオ録音となった97年の最新作『アワーグラス』では、スティーヴィー・ワンダーが味わい深いハーモニカを披露している他、ブランフォード・マルサリス、マイケル・ブレッカーらのジャズ・プレイヤーや、ボーカルのスティングら多彩なゲストが参加。ラブ・ソングから環境問題まで幅広いテーマで、相変わらず素朴で暖かみにあふれた楽曲を聴かせてくれています。
 



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