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アメリカの映画俳優、ジェームス・ディーン没(1931〜1955)
2004年09月30日(木) sun.gif
  永遠なる“反抗する10代”を演出した映画音楽

 人気の絶頂で若死にし、カリスマ的存在となった映画スターといえば、日本では赤木圭一郎、そして世界ではジェームス・ディーンが真っ先に思い起こされるでしょう。

 演出家エリア・カザン率いる「アクターズ・ステュディオ」で演技を学んだジェームス・ディーンは、舞台の経験を積んだ後、カザン監督の映画『エデンの東』(1955)に出演、一挙にスターダムにのし上がり、『理由なき反抗』(1955)、『ジャイアンツ』(1956)と立て続けにヒットを記録しますが、それも束の間、1955年の今日、スポーツ・カーで衝突事故を起こして死亡。映画の主人公を地で行ったような劇的な“生と死”は、ファンの心に強烈な印象を残し、既成の価値観に反逆する役柄も共感を得て、今でも永遠のアイドルとして高い人気を誇っています。

 ディーンの主要3作品は、音楽の点でも大ヒットを記録しました。特に、『エデンの東』のテーマはヴィクター・ヤングの編曲で大当たりを取りましたが、作曲を担当したのはレナード・ローゼンマンという作曲家です。この人はシェーンベルクに学んだバリバリの現代音楽作曲家で、12音技法を主とした無調音楽を書いていました。そのような人が『エデンの東』の音楽を担当するようになった裏には、ディーンの尽力がありました。ディーンはローゼンマンにピアノを習っていましたが、『エデンの東』出演が決まった時、監督カザンに音楽担当者としてローゼンマンを推薦したのです。最初、無調音楽を前面に押し出そうとしたローゼンマンはカザン監督と衝突し、やむなく妥協して、例の世にも美しいテーマ曲を書いてしまうのですが、次作『理由なき反抗』では、念願かなって前衛的なスコアにすることが出来ました。ささくれだって、常に孤独と寂寥感に苛まれるこの映画のディーンの印象は、ローゼンマンの音楽の効果が大なのです。

 最後の『ジャイアンツ』の作曲家はディミトリー・ティオムキンで、『リオ・ブラボー』やTV『ローハイド』など多くの西部劇の音楽を担当した人だけあり、力強く骨太な音楽を書きました。テーマ曲は歌詞を付けられヒットしました。なおティオムキンはロシア移民で、若い頃はペテルブルグ音楽院でグラズノフに学びました。そんな人がアメリカ西部劇音楽の第一人者になるのですから、面白いものです。
 



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