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米ビルボード誌がポップ・シングルを“HOT 100”として発表(1958)
2004年08月04日(水) sun.gif
  ラジオのリクエストを加味した“世界で最も権威のある音楽チャート”

 世界で最も権威ある音楽チャートと呼ばれるのが、ビルボード・ホット100。アメリカのビルボード誌によるシングルの“総合人気チャート”とでも言えばいいでしょうか。2002年の今日はそのチャートが始まってから、44年目に当たる日です。

 ビルボードの歴史は1894年まで遡ります。「音楽とエンターテイメントに関する国際的な週刊新聞」として創刊されたビルボード誌は、レコード産業の拡大と共に発展し、1940年7月20日に初めて、その週のレコード売り上げチャートを掲載します。それが大きな反響を呼び、ビルボードはレコードの売り上げだけでなく、最もラジオでオン・エアされた曲、最もジューク・ボックスでかかった曲といった、違った視点でのチャートも掲載するようになっていきました。そして1958年の今日、売り上げとラジオでのオン・エアをポイント化して集計した総合人気チャートが、「ホット100」として誕生したのです。初のナンバーワン・ヒットは、リッキー・ネルソンの「プア・リトル・フール」という曲でした。

 チャート誌といえば日本ではオリジナル・コンフィデンスが頭に浮かびますが、オリコンは売り上げのみを集計しているので、ほとんどの曲は最初の週に最高位を記録して、後はどんどん下がって行くのが普通です。しかしビルボードの場合は、オン・エアと売り上げの割合が75%:25%と、ラジオを非常に重視しているため、なかなか初登場1位といった派手なチャート・アクションが生まれにくい傾向にあります(この割合は現在のもので、過去に何度か変更されています)。

 なぜラジオがこれほど重視されているかというと、まずラジオがアメリカ国民にとって生活の友と呼べるほど浸透している点が挙げられます。何せFM局だけで数千、AMまで含めるともはや無数のラジオ局が存在しているのですから。また、アメリカではシングルの市場規模はとても小さく、シングルはアルバムを売るためのサンプル程度にしか思われていないこと。つまり、アメリカで流行ってる曲とは、売れている曲ではなくて、ラジオでかかりまくっている曲のことなのです。今やシングルとして発売していなくてもトップ10にチャート・インする曲がある一方で、シングルはどんなに売れ行きがよくても「アルバムを買ってもらえなくなる」という理由で1ヶ月ほどで廃盤にしてしまうのが普通だとか。つまり、それだけリクエストという形で大衆の支持を集めなければ上位進出が難しく、だからこそ“世界で最も権威のある音楽チャート”と呼ばれるわけですね。
 



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