個別表示

ザ・フーのリーダー、ピート・タウンゼント誕生(1945〜)
2004年05月19日(水) rain.gif
  ロック・バンドが作ったオペラ「トミー」

 ブリティッシュ・ロックを代表するバンドの一つ「ザ・フー」のリーダー、ピート・タウンゼント。学生時代から一緒に活動していたギターのピートと、ベースのジョン・エントウィッスルに、ボーカルのロジャー・ダルトリー、ドラムのキース・ムーンが加わり、1964年「ザ・フー」を結成。始めの頃はブルースやモータウン・サウンドの影響を受けたモッズ・バンド(※)で、1965年には「アイ・キャント・エクスプレイン」や「マイ・ジェネレーション」といったヒットを放っています。またピートの風車のように腕を回しながら弾くギターや、コンサートのクライマックスでドラムセットを叩き壊すキースのアグレッシブなパフォーマンスでも知られ、後のパンク・ムーブメントにも少なからず影響を与えたとも言われています。

 しかし何といっても「ザ・フー」、そしてピート・タウンゼントの名を不動のものにしたのは、1969年に発表されたアルバム『トミー』でしょう。耳も目も不自由な少年・トミーが、指先の感覚だけでピンボールの天才となり、さらには新興宗教の教祖にまでなる、というストーリー性をもった楽曲で構成されたこのアルバムは、ロック・バンドによる初のオペラとして各方面から絶賛され、全英2位/全米4位のヒットを記録。すべての楽曲の作詞・作曲を担当したピート・タウンゼントは、作曲家としても高く評価されるようになります。

 『トミー』はその後、72年に有名ロック・スター達をキャスティングしてロンドン交響楽団の伴奏によるロック・オペラとして舞台化され、75年にはケン・ラッセル監督により映画化もされます。さらに92年、ピート・タウンゼント自身が演出に関わって劇場用ミュージカルとして蘇った『トミー』は、ブロードウェイでも大成功を収め、最優秀オリジナル・スコアをはじめ5部門でトニー賞を受賞したのです。


※モッズ(Mod's)とは、1960年代イギリスの労働者階級の若者の中に生まれた流行・風俗のこと。徒党を組んで改造スクーターを乗り回したり、モッズ・スーツと呼ばれる独特のファッションで身を固めたモッズの風俗は、1979年の映画『さらば青春の光』に詳しく描写されている(ちなみに、この映画もザ・フーの73年のアルバム『四重人格』をベースに作られている)。モッズ・バンドとは、そうしたモッズ族のアイドルとなったロック・バンドのこと。
 



- Web Diary Professional ver 2.28 -