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たそがれ清兵衛 金曜ロードショーで放映
2004年03月01日(月) rain-or-crowd.gif
  2002年 松竹・日本テレビ・住友商事・博報堂・日販・衛星劇場

3月5日(金)後9:03〜11:39(45分拡大)
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 「男はつらいよ」「学校」など、数々の心に残る傑作を生み出してきた日本映画界の巨匠・山田洋次監督が初めて挑んだ本格時代劇、それが「たそがれ清兵衛」である。大ヒットを記録し、日本の映画賞を総なめにしたこの作品は、先日、米アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされるという快挙を成し遂げた。
 その話題作が早くも金曜ロードショーで地上波初登場!

 構想に10年以上費やし、リアリティを追求するため時代考証に1年以上かけて、山田監督が満を持して挑んだ渾身の一作。
 原作は、圧倒的な人気を誇る時代小説の第一人者、藤沢周平。本作品は数ある名作の中から「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」を原作に、誰かを大切に思う心、目立つ事の無い本当の勇気や誇りなど、現代の日本人に失われてしまった“心”を描いている。幕末に生きた名も無い下級武士とその家族の絆を通して、山田洋次監督と藤沢周平が問い掛ける“本当の幸せとは何か”というメッセージに、胸に染み入る感動を覚えるに違いない。
 この作品の殺陣は今までの時代劇の常識を覆した。山田監督が目指したものは、偽物ではない本当の斬りあいであった。殺気漂う命を賭けた本物の恐怖をスクリーンに描き出そうとしたのだ。そのため殺陣師に剣術師範を招き入れ、1週間以上かけてリアリティに充ちた殺陣シーンの撮影を行った。今までのチャンバラ時代劇とは違う、未だ見たことのない度肝を抜く殺陣を生み出したのだ。

 主演はアクションからシリアスな役柄まで、その確かな演技力には定評のある日本を代表する演技派俳優、真田広之。殺陣を知り尽くした真田の存在なくして本作品は成立しなかった。真田は「ラストサムライ」でも高く評価され、今や日本を代表する俳優の一人となった。幼なじみのヒロインに、女優としての活躍がめざましい宮沢りえ。二人は91年のNHK大河ドラマ「太平記」以来の共演となる。
 そして素晴らしい名優達が脇を固める。山田作品は2本目となる日本映画界の重鎮・丹波哲郎、かつては「男はつらいよ 私の寅さん」でマドンナを演じた岸恵子。今や山田作品には欠かせない存在となった演技派・小林稔侍、「赤い月」など今年も数多くの出演作が公開される人気俳優・大杉?。さらには世界的な舞踊家である田中泯が、清兵衛の敵役として息を呑む迫力ある演技を披露し、銀幕デビューを果たす。
 スタッフには「男はつらいよ」「学校」シリーズの朝間義隆(山田洋次との共同脚本)、長沼六男(撮影)、出川三男(美術)ら練達の山田組スタッフに加え、「地獄門」「炎上」等、数々の傑作で知られる映画美術の第一人者・西岡善信が美術監修として参加。衣装には故・黒澤明の長女であり、「夢」以降の黒澤作品を担当した黒澤和子。主題歌は「少年時代」以来12年ぶり2度目の映画主題歌となる井上陽水。ピアノを生かしたバラード調の甘く切ない歌声が、エンディングを飾っている。

 【あらすじ】
 
 時は幕末、元治二年(1865年)、冬。
 庄内の地を治める海坂藩に、ひとりの下級武士がいた。

 井口清兵衛。蔵の出納を管理する御蔵約五十石の下級藩士である。だが、無精ひげをはやし、着物はつぎはぎだらけと、藩に仕える侍とは思えぬほどその姿はみすぼらしい。口さがない同僚たちは彼のことを「たそがれ清兵衛」と呼んでいた。彼がたそがれ時に下城の太鼓が鳴り響くや否や家路につくことから、そう呼ばれているのだ。妻亡き後、2人の幼い娘と老母の世話、炊事、洗濯に畑仕事と全てしなければならない清兵衛にとって、仕方の無いことであった。
 この事は彼の伯父で井口家の当主、藤左衛門の耳にもすぐ入り、すぐさま、後添いをもらうように厳命される。だが、清兵衛にはその気はなかった。彼は今の暮らしを他人が思うほど惨めとは思わなかったのだ。
 ある日清兵衛は、上役のお供で京に行っていた幼なじみの飯沼倫之丞から、都の混乱ぶりを聞かされる。さらに彼が驚いたのは飯沼の妹、朋江が離縁し、嫁ぎ先の甲田家から戻ってきたという話だった。甲田家は千二百石の大家だが、朋江の夫は大変な酒乱で、殴る、蹴るが日常茶飯事。このままでは朋江の命にかかわると案じた飯沼は、無理矢理に離縁させたという。幼い頃、共に遊んだ朋江の思いかけぬ不幸に、清兵衛は胸を痛めた。
 その日、家に戻った清兵衛を、朋江が出迎えた。久しぶりに会った彼女はたおやかで、花が匂うように美しい女性に成長していた。しかし前夫はそんな美しい女を放っておくような男ではなかった。飯沼家に泥酔して怒鳴り込んできたのである。なりゆきで甲田と決闘するはめになった清兵衛。木刀とも言えぬ棒きれで甲田を叩きのめす。その評判は城中では知らぬ者はいないほど、噂となった。
 その頃、城内では藩主が急死し、改革派は謀反者として処分されるという血なまぐさい騒動が起きていた。そしてこの騒ぎは清兵衛の身にも思わぬ形で降りかかる。改革派の広利、余吾善右衛門を討て、という藩命が下ったのである。清兵衛は、果たし合いのための身支度を朋江に頼む。そして彼は、命をかけた戦いに向かった…。
 



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